どのような症状ですか?
耳の病気にはさまざまな症状があります。耳の病気を疑う可能性がある一般的な症状のいくつかをご紹介します。ただし、これらの症状が出た場合でも、必ずしも特定の病気であるとは限りません。専門医による適切な診断が必要です。
当院は、小さなお子様に多い中耳炎などの感染症治療から高齢者の難聴治療(補聴器)まで、耳鼻咽喉科専門医が行っていますので、お早めにご相談ください。
耳の主な症状
- 耳が痛い・かゆい
- 耳漏(耳だれ)
- 耳閉感(耳がつまった感じ)
- 耳垢(耳あか)
- 難聴
- 耳鳴
- めまい
- 顔面神経麻痺(顔の動きが悪い)
もちろんこれら以外に気になる症状があればご相談ください。
耳の主な病気
外耳炎
耳の穴の中で起こる皮膚の炎症です。細菌感染や真菌感染に加え、耳掃除のやりすぎなどが原因となります。
内視鏡や顕微鏡を使用して、外耳道や鼓膜を観察します。
また、感染症による耳漏を認める際は原因菌検索目的に細菌培養検査を行うことがあります。感染症が原因の場合、耳内を清掃後、抗生剤を含む点耳薬による治療を行います。
急性中耳炎
耳の中の鼓膜よりも奥の部分(中耳)に起こる炎症です。耳と鼻をつなぐ管(耳管)を通じて起こる感染症が原因となることが多いです。
耳の痛みや発熱、難聴を起こします。耳鏡や軟性内視鏡を用いて鼓膜を観察し、難聴を伴う場合は聴力検査を行います。
治療としては重症度に応じて抗菌薬を使用します。
重症度が高く、中耳内に膿が溜まっている場合は、鼓膜を切開することにより排膿を促すことがあります。
また、中耳炎を起こすお子さんの中には鼻炎を伴うことがありますが、その際は鼻の吸引処置やネブライザー治療を行います。
滲出性中耳炎
鼓膜の奥の中耳腔に滲出液という液体がたまる病気です。
子どもでは3歳ごろから10歳ごろまでに多くみられます。
治療は、中耳にたまっている滲出液をなくして聞こえをよくするための治療と、耳に悪い影響を与えている鼻(小児副鼻腔炎)やのどの病気に対する治療とを並行して行うことが大切です。
病気の程度が軽い場合には薬による治療で対応をしますが、滲出性中耳炎をくり返す場合は、鼓膜を切開して滲出液を吸引したり、鼓膜に換気チューブを入れる手術を行うことがあります。
大人が滲出性中耳炎になった場合(特に片側)は、咽頭の上の部分(上咽頭)というところに腫瘍(上咽頭癌)が隠れている可能性があるため、喉頭内視鏡で上咽頭を観察することがあります。
真珠腫性中耳炎
耳管狭窄症、滲出性中耳炎、慢性中耳炎などの中耳の換気が悪い状態が続くと、鼓膜の中に真珠のような白い塊が出来ます。
放置すると骨を溶かして進行していくことがあり、耳だれ、難聴、めまいなどをひき起こします。
さらに脳の方まで進行すると顔面神経麻痺などを併発することもあります。状態により手術の是非の判断が必要となります。
突発性難聴
突発性難聴とは、急に聴こえが悪くなる病気です。
原因としてはウィルス、神経疲労、血流障害などが関与するといわれていますが明確ではありません。
早く治療を開始した方が回復する可能性が高いと言われていますので、すぐに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
聴力検査を行い、難聴の程度を調べ、治療を行います。ステロイドの内服や点滴を行うこともあります。
他に突発性難聴の原因となる疾患がないかなどを調べるためにMRI検査を行うことがあります。
急性低音障害型感音難聴
低音障害型感音難聴とは、文字通り、低い音を聞きとる能力が障害される疾患です。
数日~数週間ほどで自然に治る人もいますが、繰り返し発症したり、なかなか治らない患者さんもいらっしゃいます。
内耳の障害によるもの、ストレスなどが発症のきっかけになることが多いと言われています。
内服薬による治療を中心に行いますが、また薬物療法と同時に、睡眠不足や不規則な生活、ストレスフルな日常生活がこの病気を悪化させると考えられますので、生活習慣の改善も有効かもしれません。
メニエール病
メニエール病は回転性めまいをくりかえし、難聴や耳鳴などの症状を伴う疾患です。
メニエール病の病態は、内耳における内リンパ液の過剰産生あるいは吸収障害により発症すると考えられています。
心身症の一種と考えられており、めまい発作の誘引として精神的・肉体的疲労や睡眠不足などが多いと言われています。
治療は、メニエール病の病態である内リンパ水腫の軽減を目的とした浸透圧利尿薬を中心とした薬剤やビタミン剤の内服治療を行いますが、めまいが激しい場合は点滴治療も行うことがあります。
この病気の特徴の一つに症状を繰り返すことがあります。
このような発作を繰り返すうちに徐々に聴力が低下していくこともありますので、有症状時は検査と治療を行うことが重要です。
顔面神経麻痺
顔面神経麻痺は「顔がまがってきた」、「眼が閉じにくい」、「水が口からこぼれる」、「口の動きが悪くなる」など、顔の筋肉が動きづらくなる病気です。
事故や外傷などで麻痺が生じる場合がありますが、顔面神経麻痺は、朝起きたら顔が動かない、鏡を見たら顔が曲がっていた、というように急に生じる場合が多いのが特徴です。
中でも最も多いのは、「ベル麻痺」で約60%以上を占めており、次に多いのは「ハント症候群」で約20%程度を占めています。
「ベル麻痺」は、単純ヘルペスウイルスが関与し、「ハント症候群」は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化により発症すると言われています。
主な治療薬は、神経の炎症やむくみをおさえるステロイドホルモン剤と抗ウイルス剤の投与です。
頻度は低いのですが、腫瘍が原因の場合もあるので、必要に応じてMRI検査を行うことがあります。
これらは一般的な耳の病気の一部であり、それぞれの病気にはさらに異なる症状や原因が存在します。耳の異常な症状が見られる場合は、耳鼻咽喉科医に相談して適切な診断と治療を受けることが重要です。